• 『木』2015コラージュ
    青木 三都子 aoki mitsuko
    s8号キャンバス

    昨年参加させてもらったグループ展に出展したs30号の『木』3部作のさらに連作です。

    S様、お買い上げありがとうございます‼️ この絵がS様を通していろいろな方と出会っていけることに感謝します。


  •  sutuio ottanta 80
    2015年5月24日(日)に出演します‼️
    ★ゆきちゃん:ダンサー吉田由紀子

    おどることが生きること
    きょうもゆきちゃんおどります

  • sutudio ottanta80
    蒲田のおどり






    Photo by Mari Yago
    黒沢美香&ダンサーズでの稽古で自分と戦い、
    武蔵野の森で、ひとり黙々とおどりに向かい続けているゆきちゃんです。


    先日、ゆきちゃんの一人稽古を観せてもらいに、電車を乗り継ぎ武蔵野の森の中へ行ってきた。電話やメールではよく話していたが、横浜同發会館での黒沢美香&ダンサーズの公演以来久しぶり。

    稽古場の区民センターの最寄り駅で落合い、犇と抱き合うがはやいか早足で階段を駆け下りる。途中コンビニに傾れ込み、お昼用のクロワッサン2こずつとインスタントのコーヒースティックと500ミリリットルの“おいしい牛乳”を1パック買った。ゆきちゃんはビシッと背骨を伸ばし大股でスッタスッタ真っすぐ前を向いて歩く。風を切って歩く。私はゆきちゃんの切り開いた風の道を歩く。

    区民センターの会議室、三方には大きな窓があるがピッチリとブラインドが閉じられている。薄暗く冷たい四角の部屋には、長机とパイプ椅子が四方の壁に背を向け四角く隙間なく並べられている。
    ブラインドを開けると透明な光が斜めに差し込んで来た。おおきな木が空に向かってすっくと立っている。まだ若く柔らかそうな葉を茂らせたしなやかな枝を風に揺らせて小鳥たちを遊ばせている。別の窓からは建設会社か何かの二階建てのプレハブの小屋が見える。
    ゆきちゃんが稽古でおどっていると、時々タバコ休憩中のおっちゃんと目が合ったりするそうだ。おっちゃんはそんなとき何を思うのだろうか。
    ゆきちゃんは、手慣れた感じで電気ポットに水を注ぎお湯を沸かし、備え付けの小さな食器棚から湯のみを二つ取り出し、一度洗ってからコーヒーを入れてくれた。ゆきちゃんは最初はブラックで、2杯目は“おいしい牛乳”を入れてゆっくりと飲んだ。そして、コンビニで買ったクロワッサンランチを、“バジル・クリッツァーのブログ”の話なんかをしながらささっと済ませると、おもむろに床に“ヨガマット”ではなく銀色の保温マットを敷き躰を解し始めた。私は、最初はぼんやりと眺めていた。衣擦れの音とゆきちゃんの吐く息が聞こえる。
    慣れない朝の電車で1時間半立ちっぱなしだったうえに久々の小走り、更に月に一度の体調不良の日でお腹も満たされてしまった私は、集中したい気持ちと裏腹に、ウトウトしかもズキズキ…。なかなかゆきちゃんが見えてこない。

    「一緒にやってみない?」とゆきちゃんに声をかけられはっとして、
    何も考えずに、私もゆきちゃんからその日に貰うことになっていたF30号キャンバスを梱包するために持参した梱包剤シートを敷き、その上にゆきちゃんと向かい合わせに座った。

    ストレッチ
    ゆきちゃんは一方の足を前へ投げ出し、その上にもう一方の足をくの字型にまげて乗せ、左手で乗せた足を軽く支えながら一カ所ずつ関節や筋肉をクリンクリン回している。

    私も真似て、伸ばした右足の上に乗せた左足首を左手で持ち右手で左足首から先の部分を握ってみた。ふぇ〜、ゴワゴワしてる〜固い〜、それになんて冷たいの〜😖。まず右手の感覚だけが伝わってきた。冷たがってる右手で親指の第一関節から恐る恐る回してみる。グリグリやってみる。?引っ張って回して?指も足首も石のよう物のよう。ギックシャックギリギリ、回ってるんだかなんだかよくわからない。ゆきちゃんの足はクリンクリン踵もクルンクルン解れていく。??何だこの感じ?あっそうだ、歯の治療中に、舌をグイッと押さえられて、自分ではおとなしくしているつもりなのに舌が勝手にビンビン抵抗し、歯医者さんの指と戦い続け、コントロール不能状態になってしまってどうにもならない感じに似ている。全く手に反応しない、バラバラ。ふ〜、今度は右足にしてみよう。ゆきちゃんに教わりながらゆっくり丁寧に一本一本伸ばし関節を確かめながら回そう解そうと思わずに触ってみた。やっぱり右手は、冷たくて固いと感じていた。尚も続けているとだんだん足の余計な力が抜けて来た。

    そしてふと何やら新しい感覚に気付いた。右足の指が足の裏が甲がなんか違う!フワ〜っとくる!なにこれ!なんだこれ!あっ!言ってる!右足が言ってる!あったかいって言ってる‼️うわーあったかい‼️ここにいるよって言ってるぅー‼️
    なんと、発見しました‼️右足を。右手からの何かをあったかいものを右足の指先からジュワジュワーっと受け取った感じ。それが体中を巡っている感じ。なんか繋がった‼️
    慌てて左足も再度挑戦。おおぅ‼️わかるわかる!いるいるここにも!左足発見‼️嬉しー‼️
    懐かしい旧友と再会したかのような、足の指をしゃぶったりおもちゃにしていた赤ん坊の頃の記憶が蘇ったかのような喜びでいっぱいになった。私は長いこと、自分の足のことなどすっかり忘れていたんだ。
    楽になった。解れた。右足も左足ももう警戒したり疑ったり抵抗したりしない。安心して右手に委ねている。指も足首も最初よりクリンクリン気持ちよく回っている。実に面白い。感動した。

    そして背骨体操?
    ゆきちゃんが四つん這いになり、私に背骨を一こずつ押してほしいというので、人差し指でゆきちゃんの首の辺りの骨からゆっくり圧力を加えてみた。グリグリ押すと、それに答える様にその骨を頂点にしてググーンとゆきちゃんの背中が弓なりに撓ってくる。指先がブワッと熱い。これ以上無理というところまで頂点が持ち上がるとフ〜と縮んでいく。指先もゆっくり冷めていく。数個ずらしてまた押すと今度はその骨が答える。グイーっと持ち上がりスーッと下がる。その度に背骨がら伝わる熱がブワーと指から注ぎ込まれる。ゆきちゃんの骨は自由自在。面白い。
    交代して、今度はゆきちゃんが私の背骨を押す。指で触れられているのはわかる。だがそれが、背骨の内の1こだということまで感じ取れない。ゆきちゃんが、
    「ここだよー、ここここ」
    と私の背骨に伝えてくれる。ジワッとなにかが流れ込む。ここ、ここと押してくれる。すると、ん?これか?っという瞬間があり、その部分を中心に動かしてみる。
    「そうそう、きたきたー」
    おーここか。探って探って、見つけられるんだ。自分も動かないなりに限界まで挑戦する。ブオーっと背骨の先が熱くなる。ゆきちゃんの指に伝わっていくような感じがする。
    背骨と指の接点から熱いものが行き来している様に感じる。面白い。
    はい、終わり。

    初めての経験。ストレッチって、柔軟ってこんなに面白いの〜‼️
    もっと小さい頃にこの面白さを知っていたら、小学校の体育の時間にこんな柔軟体操をやらせてもらえてたら、私は体育が大好きになっていただろう。残念ながら、子供の頃は学校の体育の時間が大っ嫌いで運動会なんて恐怖以外の何者でもなかった。朝起きたら学校が火事で燃えて無くなってしまってたらいいのにと何度願ったことか。しまいには、教室の黒板の上のクラス目標の、額に飾られた『知 徳 体』という、担任の土井先生が生徒の健やかな成長を思って書かれたであろう毛書の『体』の字を見るだけでもお腹が痛くなったものだ。
    ゆきちゃんにそう言うと、それは今だからそう思うのだと言われた。子供の頃では同じ様に感じたかはわからないと。それはそうかもしれないな。子供の頃は、もっと手も足も身近だったろうし、体育の授業は嫌いだったとはいえ、今より常に動いていたしね。

    さて、ゆきちゃんの稽古が始まった。
    私は、ストレッチの余韻でまだ少し興奮が残っている。
    何でもよいから思いついた言葉を何個か上げてほしいと言われ、たまたま電車の中で読もうと思って鞄の中に入れていた、平田オリザさんの『わかり合えないことから,コミュニケーション能力とはなにか』(講談社現代新書)という本を出し、適当に開いたページから目に入った言葉を拾うことにした。
    “寵愛”だったか“求愛”“砂漠”など、数カ所からランダムに抜き出した。
    その言葉をおどりで表現するということではなく、言葉の意味も関係なく、普段自分から出てこない言葉を聞いたり書いたりして、それをとっかかりにして展開させていくということだった。
    ゆきちゃんがおどりだす。空気を動かす音の中、躰で考えているような実験を繰り返しているような、途切れた時間が羅列されていくような感じだった。

    おどる
    最初、ゆきちゃんの躰は平面的というかシルエットで見えていた。冷たい床に張り付いているほんの僅かに透ける黒いシルエット。輪郭線の際からは外の真っ白い光が眩しく広がっている。映像を見ているような、遠いところのものを観ているような感じだった。
    ただじっと見つめていると、
    サワサワサワサワササササザワザザザーーーーー
    耳元を風が吹き抜けた
    チュチュチュッ  チュピーーーチュチュピーー
    ゆきちゃんつぶつぶになる
    ザワワワワワワワワワワワー
    ピーポーピーポーピーーーポーーーーー
    あえいうえおあっおーーザワワワワワワーーー
    わたしもバランバラン粉々つぶつぶ砕けていく
    グワーーーーーーーーーーーーン
    グワーーーーーーーーーーーーーーーーン
    ゆきちゃんがつぶつぶになってわたしと混ざっていく
    わたしもつぶつぶ、声も救急車の音も冷たい床も閉ざされた窓も白い光も
    バランバランつぶつぶ全部混ざっていく
    境目がどんどん消えていく
    会議室も区民センターもおおきな木も森も流れる雲も
    大きな風になる
    ザザザザザザザザザザザザザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    鼓動のバックンバックンもつぶつぶに吸い込まれまたどこかから聞こえてくる
    ああまっしろ

    ぷつっ
    チックタックチックタック
    いつものゆきちゃんが床の上に立っている
    眉をひそめ時計を覗く
    終わっちゃった。びっくりした。

    びっくりした。
    なんだったんだ。
    またあそこにいきたい。

    オッタンタには行かなかったけど、私はこの日の感覚を繰り返し繰り返し引き出しては味わう。引き出しているうちに違うものにどんどん変わっていっているのだろうけど、やっぱり思い出す。思い出すと泣けてくる。

    ありがとう。ゆきちゃん‼️













  • 本日、2015年5月15日(金)
    sutadio80 ottantaにて
    ❶21:00〜 ❷22:00〜
    ¥1000  1d.
    レコード係員:ロビー☆カマタ、STS、鳴子こけし
    蒲田のおどり:吉田由紀子

    おどりってなに?なんでおどるの?
    ゆきちゃんをみて!
    みつづけて!